虐げられし者達の復讐③ | レッド・ブラッド・イレブン

虐げられし者達の復讐③

野沢拓也は、純度100%の鹿島アントラーズ戦士である。ジュニアユース時代から鹿島でプレーし、ユースからトップチームへ昇格して、現在に至っている。

ポジションはMFとFWで、その才能には早くから注目が集まっていた。以前、鹿島を訪れた現日本代表監督のジーコが「ブラジルに連れて帰りたい」とまで絶賛したのは有名なエピソードだ。それが影響したかどうかは分からないが、野沢はジーコの創設したCFZ・ド・リオというブラジルのクラブチームへの留学も経験している。

が、しかし、野沢が持つポテンシャルに対して、何故か出場機会はなかなか増えなかった。やがて「せめてベンチに」が、サブのメンバーにも入れない野沢を支持するサポーターの悲痛な叫びとなっていた。天性のゲームメーカーとしての素質を持っているのに、このまま消えてしまうのだろうか?誰もが半ば諦めかけていた。

だが、今年の野沢はそんな暗い過去の記憶を払拭するかのようにキレている。開幕からFWのポジションでチャンスを掴むと、中心選手としてチームの軸になり、連続ゴールも記録。まるで嘘のような活躍ぶりだ。

残念ながら、好調時に全治二ヶ月の大怪我を負ってしまい、しばらくリーグ戦を欠場していたが、中断期間中に遂に復活。現在はレギュラーFWのアレックス・ミネイロがリタイアしている為、日本代表の鈴木との2トップになりそうだ。

けれど、アレックス・ミネイロが復帰したらどうなるのだろう?おそらく鈴木との激しいポジション争いが待っているに違いない。野沢拓也というフットボーラーが成功するか否か?野沢にとって、今シーズンは重大な分かれ道になる予感がする。