虐げられし者達の復讐②
森崎兄弟はどっちがどっちなのか分からなくなるときがあるが、佐藤兄弟の場合、それはない。何しろ兄弟とは思えないほど風貌が違う。私も始めて知ったときには随分と驚いたものだった。
二人は共にジェフ市原ユース出身の選手であったが、プロの道に進んだ後は違った道を歩み始めた。
FWの寿人はセレッソ大阪に移籍し、さらに次年度にはベガルタ仙台に移籍。結果的に降格してしまったが、シーズンを通してエースとして孤軍奮闘。翌年のJ2では二桁得点をマークし、サンフレッチェ広島への移籍を勝ち取った。自らも尊敬するフィリッポ・インザーギに酷似したスタイルで、ゴールを量産するストライカーに成長した。
MFの勇人はその後もジェフ市原一筋を貫き、オシム監督の門下でフットボールをよく学んだ。3-5-2のダブルボランチのレギュラーに定着してからは、強烈なミドルシュートでゴールを幾度となく奪う。既にジェフにとって、無くてはならない存在になった。
寿人は01年WY組で、勇人はU-22日本代表に召集経験があるが、本格的に代表に定着したことはない。しかし、かつて別の道を選択した兄弟が揃ってブルーのユニフォームに袖を通す日はそれほど遠くないかもしれない。