虐げられし者達の復讐 | レッド・ブラッド・イレブン

虐げられし者達の復讐

長谷部誠は代表経験がまるで無い。出身高校こそ静岡の名門・藤枝東高校だったが、現ジュビロ磐田の成岡の影に隠れてしまっていた。よって、高校の時点で代表に声がかかるなど有り得るはずも無い。

運良く浦和レッズのスカウトの目に留まり、入団を果たした長谷部は2年目からオフト監督の信頼を得、トップ下のポジションを掴む。そこにはエジムンドの退団という抜き差しならない状況もあったが、03年WYを目前に数少ないレギュラー選手となった。当然、長谷部は代表に選ばれると目されていた。

だが、長谷部は最終選考で惜しくも落選。当時のチームを率いていたのが選手の好き嫌いの激しい大熊監督だったのも不運だった。ワールドユースにも不出場。その先のアテネオリンピック代表にも選ばれなかった。

それでも長谷部は挫けなかった。04年のシーズンはダブルボランチの一角に定着。大活躍し、ニューヒーロー賞とベストイレブンを受賞。今では雑誌の「誰を日本代表に呼ぶべきか」という趣旨のアンケートを行うと、必ずと言っていいほど上位ないしは一位に輝く。既にクラブレベルでの実績は成岡を遥かに凌ぐ格好になった長谷部。その細身の体からは想像も出来ない芯の通ったフィジカルとフットサル仕込みのドリブルとパスでA代表入りを虎視眈々と狙っている。長谷部の復讐はまだ始まったばかりだ。