結局最後は | レッド・ブラッド・イレブン

結局最後は

「イナット(意地)だ」

映画「アンダーグラウンド」で、NATO軍の激しい空爆が行われる真っ最中に主人公が平然と食事を続けるシーンがある。そこで先ほどの言葉を言うのだが、セルビア人は総じて意地っ張りだ。外交下手、お人よし、意地っ張り・・・セルビア人は日本人に似た共通点がある。これがきっかけで私はセルビア・モンテネグロに親近感を覚えた。だが日本人が失ってしまったものをセルビア人達は持っているとも感じた。それは誇り、愛国心、闘争心である。

98年の仏ワールドカップにて、ユーゴスラビア(当時)はグループリーグ初戦でドイツと対峙した。何年ぶりかのワールドカップ出場。選手達の喜びもひとしおだろう。しかし、場内に両国の国家が流れた際に奇妙な光景が映った。ストイコビッチも含め、誰一人としてユーゴスラビア国家を歌わないのである。中には薄ら笑いを浮かべる者さえいた。

それもそのはず。現在の国歌は社会主義時代に押し付けられたものであり、本当の国歌ではないと考えていたからだ。愛国心があるからこそ、国歌を歌わない。そんな考え方もあるのである。

元日本代表のラモスは日の丸のついたユニフォームと君が代を聞くと不思議な力が出たと言っている。ギリギリの状況下では気持ちの強さや愛国心の差が結果に反映される。ユーゴの代表選手達が世界から後ろ指を指されながらも戦い抜けられたのは、並の選手とは比べられないほどのそれが備わっていたからだろう。さて日本には・・・?